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フィンローダのあっぱれご意見番 第92回「ホームページ」

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昨年末、@niftyのFPROGORGで「HP」あるいは「ホームページ」 という表現に関する対話で異様に盛り上がっていた。 最初に出てきたHPという表現を「ホームページ」と解釈すると、 私のイメージでは意味が通らなくなってしまったので、 話が錯綜したのだが、 どうも実際に使われている「ホームページ」 という表現が無茶苦茶多くの意味を持っていることが分かった。 ちなみに、その時の「HP」は@niftyでは 「WWWサーバー」と呼んでいるものに対応する概念だと理解したわけだが、 この「HP」が「ホームページ」だとすると、「ホームページ」に「WWWサーバー」 という意味が含まれていることになるわけで、 そんなことがあるのかと思ったら、 fj.questions.internet というニュースグループで久野さんという方が “「ホームページ」さまざまな用例集” という投稿をなさっていて、 それに紹介されている十数通りの用例中にはちゃんとそれが含まれていたので、 流石と思ったのである。

  

この種の話題は、結論を出さずに錯綜させて構わないので、割と楽である。 世界的に混乱している表現を、 たかが一介のフォーラムの議論ごときで決定するわけにもいかないからだ。 とりあえず、ホームページの本来の意味が何かといえば、 英語の「home page」という表現と同じ意味じゃないか、 と考えるのは自然の成り行きである。 実は世の中そんなに甘くはないのだが、それはおいといて、早速 「home page」をオンライン辞書で引いてみると、 共通している定義は「Web site を見る時に最初に表示するページ」である。 これは、いわゆるトップページってことなのだが、 「トップってどれのこと?」という厳しい反撃が待っているので注意が必要である。

 

※ URI のツリーの構成によっては、 合理的にトップページを決定できることもある。

これに対して、WWWブラウザのヘルプには「ブラウザを起動した時に表示されるページ」 を「ホームページ」と呼んでいると書いてある。 想像だが、本来はhome pageは辞書にあるような意味で使われていて、 ブラウザは起動した時にどこかのhome pageを表示する機能があった。 例えばNetscapeだと、Netscape社のhome pageを起動時に自動的に表示するのである。 ただ、この設定が変更不可能だと、場合によっては不便である。 そこで、最初に表示できるページとして、Netscape 以外のホームページも指定できるようにした。 それだけなら問題はないのだが、 Web siteのトップページだけを指定できるような機能というのは実現不可能である。 WWWの構造上、どこがトップなのかという判断ができないからだ。 そこで、任意の場所を指定する機能になるわけだが、 ということは、ローカルディスクのファイルを指定するような使い方も可能になる。 実は私の場合そういう指定になっていて、 ブラウザを起動した時にスケジュールや締切が表示されるようにしてあるのだ。

 

※ 今使っているブラウザは Firefox 1.5 だが、 オプション設定画面をみると、やはりそのような意味で「ホームページ」が使われていることがわかる。

ちょっと話が逸れるが、Netscape Messengerを起動すると 「Netscape Messenger へようこそ」というページをアクセスしに行く。 これを無効にするのが結構難しかったが、 Webで調べて何とかなった。 DoPaでメールを読みたい時とか、うっかり先に電話かけてからMessengerを起動すると、 バシバシ料金がかかってしまうわけで、 こういうのは簡単に無効にできるようにしておいて欲しいと思う。

 

※ Netscape Messenger はメーラー。

というわけで話を戻すと、以上のような経緯があって、 本来の意味から転じて、 ブラウザを起動した時に表示されるページが本来の "home page" でなくてもそう呼ぶようになったのではないか、 と思うのだが、どうだろう?  いずれにしても、 ブラウザの起動ページといわゆるトップページ、 この2つが世界的に通用する2大解釈ではないかと思う。

  

これは日本で使われている「ホームページ」という表現とかなり違ったニュアンスがある。 とか書くと、じゃあ日本語では「ホームページ」というのはどんな意味か、 と突っ込まれそうだが、これがまた訳がわからなくて、 先に紹介したように十数通りが実際に使われているようだ。 一般の人が「ホームページ」という言葉をどう理解しているか、 というのがさらに難しい問題である。 一般の人って何、 という問題はとりあえず考えないことにすれば、 おそらく、例えば、最近のパソコンを買ったら見ることができるものであって、 今まで知らなかったナニかであり、 個人でも企業を告発できるものであり、国内では見られないようなアダルトの…いや、やめておこう。

 

※ いわゆる Web site の意味で使われていた。 例えば、http://www.phinloda.com/ で始まるページ全体、である。

ホームページに対する日本の大衆的イメージというのは、 そういうイメージだと思うのである。 これはつまり、 一般に「テレビ」というモノは、 「電波を受信して画像と音声の信号を(中略)とかいう装置」ではなくて、 「藤原紀香が出ているドラマだとか、 真夜中にイギリスでやっているゴルフを見ることができるもの」 という感じで理解されているのに似ている。 「テレビを見るのが好き」という人は、 テレビの筐体じゃなくて番組を見るのが好きなのである。 ホームページという言葉も、その定義とか、実際に何がどうなっているのかとか、 全然分かっていない人が、 そのコンテンツを抽象的に表現したものとして使っているような気がするのである。

  

VAIOのCMだったと思うけど、 出てくる人が「ホームページ、アップしたから見てね」 というセリフを言う。 FPROGなら、このネタだけで1か月盛り上がることができるかもしれない。

 

※ アップって何? ということも議論の対象になる。

§

  

RIMNETのサーバが2000年問題の対応とかで、入れ替えになっている。 1999年の11月頃の話である。 Perlのバージョンが4から5に変更になったらしい。 実は私のページはCGIではPerlを使っていないので、 この変更は見かけ上はあまり問題なかった。 perl は、 ページ以外の処理にちょっと使っていたりするのだが。 サーバーが変更になってもCGIスクリプト等は基本的にそのまま使えるようにする、 というアナウンスだったが、そうは問屋がおろさないことは百も承知で、 そんなウマい話があるのだろうかと思っていたら案の定、意外な所でトラブルになってしまった。 ホームページのSSIの日本語処理なのである。そこにはかつて、 fig.1のようなtimefmt の指定があった。

 

※ RIMNET で使っていた CGI は C言語で書いたものをコンパイルしたものだった。

---- fig. 1 ----

<!--#config timefmt="%Y年%m月%d日" -->

---- fig. 1 end ----

この指定は、サーバーが入れ替えになるまでのRIMNETでは、何の問題もなく動いていたのである。 まさかこんな所が動かなくなるというのは予想していなかったのだが。 何が起きたかというと、つまり、文字がいくつか抜けてしまうのだ。 具体的には「yy年mm月dd日」と表示すべきところ、 fig.2で示した文字のうち、下線を引いたデータが欠落しているのである。

---- fig.2 (本来あるべきデータ) ----

  1B 24 42 47 2F 1B 28 42  (年)
     ^^ ^^ ^^
  31 32  (12)

  1B 24 42 37 6E 1B 28 42  (月)
     ^^ ^^ ^^ ^^
  31 34  (14)

  1B 24 42 46 7C 1B 28 42  (日)
     ^^ ^^ ^^
---- fig.2 end ----

これでは正しく表示されるわけがない。 ともかく、これはまず日本語処理の問題だろうと勘を働かせ、 ならば日本語を使わなければよかろう、という結論を出して、 一時的にfig.3 のように変更した。これなら漢字がないため化けない。

---- fig. 3 ----

<!-- #config timefmt="%Y-%m-%d" -->

---- fig. 3 end ----

しかし、システムの都合で表現を強制されるというのは実に面白くない状況である。 大袈裟かもしれないが、SF的にいえば、機械に人間が支配されているという感じだ。 調べてみたら、面白いことに、文字コードがEUCやSJISだと問題がないらしい。 JISで書いた場合のみ、動作がおかしいのである。 そこで、サポートセンターに問い合わせてみたら、確かにそうなるようだということで、 EUCかSJISで使ってくれ、という回答だった。 だったらそうと早くいってくれれば話は簡単。

と思ったのだが、ここで意外な問題がさらに発覚したのだ。 私のページは、原稿が全てSJISで書いてある。 これを、Webサーバに転送するスクリプトは、更新されたファイルを検出して、 文字コードの変換などの処理を自動的に行う。 では、このスクリプトに手を加えて、JISではなくEUCに変換するとか、 あるいはSJISのままにすればよいか。一見簡単そうだが、実はこれにも落とし穴がある。 一部くCGI絡みのページの内容は、プログラムの処理の都合上、 JISで書かれていなければうまく動作しないのである。 つまり、EUCで動作させるためには、CGIのスクリプトを変更することが必要である。 では、あるページはJISのまま残して、index.html だけをSJISで転送するには…?

スクリプトで一部のファイルを特別扱いすることは、もちろん簡単である。 ただ、スクリプトがぐちゃぐちゃになりそうなのが気に入らない。 とか言っている場合ではなかったわけだが、 なぜかトライ&エラーで試してみるとうまい方法が見つかって、 最終的にはfig.4のように書いたのである。

---- fig.4 ----

<!--#config timefmt="%Y" -->
<!--#echo var="LAST_MODIFIED"-->
年
<!--#config timefmt="%m" -->
<!--#echo var="LAST_MODIFIED"-->
月
<!--#config timefmt="%d" -->
<!--#echo var="LAST_MODIFIED"-->
日

---- fig. 4 end ----

こんな感じでtimefmtを指定した場合、 きちんとその都度反映されるのか? という疑問はあったのだが、 RIMNETのサーバーはこれで動作するようだ。 というわけで、若干釈然としないが、対処療法的に問題は解決している。 このページのソースを見て「なんでこんな書き方に?」と思った方は、 これで納得していただけるだろうか。

  

(C MAGAZINE 2000年2月号掲載)
内容は雑誌に掲載されたものと異なることがあります。

修正情報:
2006-03-15 裏ページに転載。

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