フィンローダのあっぱれご意見番 第94回「陽はまた登るか?」
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以前、フリーのSolaris を購入(ってヘンだけど)した話を紹介した。 2000年になって、 やっとそれが動くようになったのだが、 余計な所でトラブルが続出してそれはもう面白いものである。 UNIX好きな人なら既にご存知だと思うが、 WWW でSolarisのインストールメモの類のページを探せば、 似たようなページがわんさかと見つかる。 この種のページが多い理由は簡単。 メモしておかないと、どうやってインストールしたか忘れてしまうからだ。 しかも、 ハードディスクがクラッシュしたりして、 再度の新規インストールということも結構あるわけで、 なかなか油断できないのである。 もしかすると、何かのページで助かったという経験があったので恩返しに、 という場合もあるのかもしれないが、 メモを作っておいて一番助かるのは、私の経験では自分自身である。 というわけで、今更何をインストールする時はどのコマンドをどうする、というようなことは書かない。 興味のある方や、実際にインストールしたらハマってしまって埒があかない方は、 @niftyのプログラム言語フォーラムにPC-UNIXの部屋というのがあるので、 そちらに書く予定であると紹介しておく。 それ以前の混沌とした所の話が凄い。 まず、ハードディスクを認識させるまでが大変だったのだ。 昨年入手したSolarisを今頃インストールした理由は単純である。 ハードディスクに空きがなかったのだ。 つまり、新たにハードディスクを購入して、 そこにインストールしようとしたわけだ。 で、すぐに買わなかっただけの話なのだ。 これを書いている時点で、EIDEハードディスクの価格の目安としては、 凄く大雑把だが、 20GBが2万円程度と考えてもらえばよい。 この号が書店に並ぶ頃には2千円になっていた…なんてのはちょっとイヤだが、 とにかくハードディスクの価格は凄いスピードで安くなっている。 というより、容量による価格差があまりないのだ。 20GBが2万円なら、4GBは4千円か、というとそうではなくて1万8千円だとか、 そういうものなのである。 実際に購入したのは17GBのドライブだ。 このディスクを接続してみたら、なぜか2GB程度しか認識してくれない。 これはよくある話で、結局マザーボードのBIOSが古いのである。 BIOSをバージョンアップすれば、正しい容量を表示してくれるはずだ。 と信じて次のステップに進みたいわけだが…。 § ところが、BIOSのバージョンアッププログラムが見つからないのである。 起動画面には Phoenix BIOSと出ている。 マザーボードの型番はM55Hi-Plusというものらしい。 こういう時はインターネット様様で、 基本的に、AltaVistaでも使って型番で検索すれば一撃で目的のページが出てくる。 実際出てきた。 BIOSアップデートのダウンロードページもあった。 じゃあいいじゃないか、と思われるかもしれないが、 何と実際にダウンロードしようとしたら、 そんなページはない、という結果になってしまうのである。 つまり、リンクが切れている。 世の中そう甘くないのだ。 私の数少ない経験によれば、BIOSのアップデート系のページで、 このようなリンク切れが結構あると思う。 BIOSのアップデートは、こまめにページをチェックして、 できるだけ早期にダウンロードする、というのが鉄則なのかもしれない。 さて、このような場合に正道とは? ちゃんとそのメーカーのページがあるわけだし、 そこにBIOSアップデートの項目もあるのだから、 リンクが切れているがどうしたらよいですか、というメールを送るとよいのだ。 実は経験済みである。 その時は、1日か2日した時には、ちゃんとリンクが繋がっていた。 言って見るものである。 もちろん、日本語でメール書いても無視されるのがオチなので、 英語のメールを出すわけだが、こういう時に文法力は0でも構わない。 デタラメに書いても、相手は英語のプロだから、勝手に解釈してくれるものだ。 例えば「M55Hi-Plus. BIOS update, LINK not found. Help」程度でも、多分絶対に通じる。 リンクが切れている所のURLとか書いておけば完璧だ。 要するに意志が通じればいいのだ。 | ||
でも、今回はその方法を取らなかった。 目的のプログラムが配置されたページへのリンクが切れているということは、 サイトの構造が変更になって、特定のページの修正をし忘れた、という可能性がある。 こういう時にも、検索エンジンはパワフルなのだ。 もしてして…と思って、AltaVistaで、そのプログラム名をそのまま指定し、 検索してみたのである。 結論としては、このサイトにはプログラムはなかった。 玉砕か。 ところが、奇妙なことに、フランスのとあるサイトがヒットしているのだ。 そのページを見ると、 どう見てもサイズも同じ、 ファイル名も説明のバージョンも欲しかったプログラムそのもの、という感じがする。 そうなったらヤルしかない、というわけで、 試しにダウンロードして、それを実行してみたのだ。 こういうことをすると、システムが全破壊ということになっても誰も責任を取ってくれないから、 皆さんはこういう無謀なことは真似しないでください。 | ※ AltaVista: 検索サイト。 今でもある。 当時は今ほど google 全盛期ではなかった。 | |
運よく、BIOSのバージョンアップは、うまくいったのである。 結果オーライ。 これで問題が解決したか…というと、少し進歩したのだが、なぜかまだ8GBしか認識してくれない。 実は、後からSolaris FAQとか見たら、 そもそもOSがEIDEのドライブは8GBまでしかサポートしないとか書いてあったので、 なんじゃそりゃと思ったのだが、これはどうも本当らしい。 ただ、ここで8GBといっているのは、 OSではなくBIOSレベルでの認識の話だから、ちょっと困ったものである。 ここで白旗ということにして、 IDEのドライブは他のマシンでLINUXにでも使うことにして、別の方法を考えることにした。 § | ||
IDEがダメならSCSIである。なんでじゃ、と思われるかもしれないが、勢いというのは恐ろしいものだ。 実はSCSIの外付けドライブはちょっと高い。 といっても、最近は20GBで3万円程度だ。 何となく衝動買いしたのである。 買って来たのはBUFFALOのUltra SCSI HDD、DSC-UGTVというモデルである。 ただ、箱にはセキュリティ・ロック機能搭載とか書いてあるし、 ドライブを3分割できるとか、対応OSがWindowsとかMS-DOSとMacOS8.6対応とかなっていて、 UNIXのUの字も出てこない。 このドライブ、Solaris x86に使えるのだろうか? 所詮SCSIだ、と、強気な態度に出て買ってしまうのである。 早速、箱を開けたら、 「DSC-UGTVシリーズの対応SCSIインターフェース、という紙が入っていて、 対応一覧表が書いてある。 | ※ 実際、この種の HDD は、大抵 Solaris x86 に使えたし、 Sparc 系の Solaris でも使えた。 ただ、常時稼動させると、耐久性の問題はあったようだが。 | |
私の使っているSCSIインターフェースは、AdaptecのAHA-2940Uというものだ。 一応メジャーだと思ったのだが、表にはズバリそれがないのだ。 AHA-2940AUというのが書いてある。ちょっと違う。 でも似ているからイケるだろ、と思ったわけだが、 注釈に気になることが書いてある。 SCSI BIOSのバージョンの欄が2種類分かれていて、 Ver 1.23以前の場合はWindows 95でフォーマットできる容量が8.4GBまで、とかいうのである。 Ver 1.32以降ならokらしいのだが、早速バージョンを調べたら、しっかり1.23だった。 全くもう前途多難としか言いようがないのだが、 Windows 95じゃなくてSolarisだから大丈夫か…とも思ったが、 流石にAdaptecのサイトにバージョンアップのプログラムはあるだろう。 はい、ありました…が、はて、AHA-2940Uって何物? その型番が見当たらない。 AUとUというのは同じなのだろうか? 念の為と思って基盤を見たら、AHA-2940U+、 とか書いてある。プラスって何? どんどん謎が増えてワケがわからない。 SCSI BIOSのバージョンアッププログラムは、対応するボード毎に違っているから、 ヘタに違うプログラムを使ったらえらいことになるような気がする。 こういう時も、本来はメールで問い合わせてみるのが筋なのだが、 ここは一気にやってしまえ、という感じでダメモトでやることにした。 § So-netに、Jong Plugged というオンライン対戦麻雀サービスがある。 インターネット麻雀として、有名なのが東風荘だ。 以前はよく対戦したものだが、フリーで使える反面、 深夜はとても混雑していて接続するだけでもまず難しい。 接続してからも反応が遅いとか、途中で落ちるとか、 トラブルは結構あったのだが、 Jong Pluggedの方は、深夜でもスカっと接続できるし、 ゲームもサクサクという感じで気に入った。 ただ、こちらの運が原因で、 5面待ちが単騎に負けてしかも一発でツモられたりするのだが、それはさておき、 ここは全ツッパリ即リーの気分でSCSI BIOS勝負に出たわけである。 裏目に出たらSCSIボードを買う程度の覚悟がないとやれないはずで、 皆さんは絶対に真似しないように。 ちなみに、こういう勝負していると、当たり前だが麻雀の方は成績がいまいちだ。 | ||
で、これまたうまく具合にバージョンアップ成功。やったね。 しかし、勝負はゲタを履いても分からない、というのが個人的には格言である。 Solarisはこのドライブをちゃんと認識してくれるのだろうか。 オーラスの勝負はまだ終わっていない。 でも、ここまで来たらもう流れが来ていますから(って何が?)、 こういう時はうまくいくものである。 ちゃんとSolarisは19GBを認識してくれた。 インストール終了後、いろいろフリーソフトを入れた状態でdf -kの表示はfigのようになった。 見てもらうと分かる人には分かると思うが、 /usrに2GBも割り当てることができると猛烈に楽ができる。 /export/home で 162774kbytes 使っても使用率が1%というのも楽しくてしょうがない。 しかし、多分、ちょっと油断するとこれがfile system full になってしまうのかもしれない、 と思っている今日この頃。 | ※ 当時はこれで結構広い感じがしたものだ。 | |
---- fig ---- ファイルシステム kbytes 使用済み 使用可能 capacity マウント先 /proc 0 0 0 0% /proc /dev/dsk/c2t0d0s0 498271 45450 402994 11% / /dev/dsk/c2t0d0s6 2061938 740374 1259706 38% /usr fd 0 0 0 0% /dev/fd /dev/dsk/c2t0d0s7 16557601 162774 16229251 1% /export/home swap 546044 12 546032 1% /tmp ---- fig end ---- |
(C MAGAZINE 2000年4月号掲載)
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2006-03-14 裏ページに転載。
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