フィンローダのあっぱれご意見番 第142回「ココログというものをしてみた」
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@nifty がメンバーズホームページというサービスを廃止するので、 移転しろというメールが唐突にやってきた。 私のサイトは最初にRIMNETで公開してから今に至るまでRIMNETに置いてあるのだが、 その後、いわゆるパソコン通信サービス系の各社がプロバイダ化するにつれて、 追加料金なしでホームページを開けるというサービスが続々と始まったので、 結構あちこちに乱立していたりする。 タイトルの「~してみた」という表現は、 土佐日記の「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」を意識している。 ブログを日記と対比させている。 メンバーズホームページには 「Phinlodaの本当の裏ページ」という名前のページが置いてあって、 これは事実上のメインのページみたいな状態になっているのだが、 実はGoogle で「裏ページ」を検索すると、このページがトップ10に入るというか、 それどころか、かなり長い間、最初に表示されるような状態になっていた。 | ||
@niftyはメンバーズホームページの他に@homepage というサービスがあって、 今回はそれに一本化するという話らしい。 サービスが一本化するのは別にかまわないのだが、 その時にURLが変わるというのである。 プロバイダの一方的な都合でURLが変わるのは大迷惑だという話を以前ぶつくさ書いたので、 これも紹介しないとフェアではないと思ったわけで、 しかも、以前書いた中の最悪のパターンなのだ。 つまり、移転したとして、 その後のURLが以前のURLから機械的に求めることができないのである。 | ※ ドメインが単純に hoge.ne.jp から hoge.com になるだけなら機械的に変換できるのだが、 hp1.hoge.ne.jp が hoge.hash3.hoge.com のような感じでしかも数字がランダムに選ばれたりすると何が何だか。 | |
まさかメンバーズホームページがなくなるとは思っていなかったので、 @homepage のサービスが始まった時にも、あえて移転しなかった。 その理由は単純である。 今まで苦労して広めてきたURLを変更すると、 連絡の手間もいろいろかかるだけでなく、 折角あちこちからリンクしてもらったという財産がパーになるのである。 もちろん「ブックマークを変更してくれ」というようなアナウンスは可能かもしれないが、 あくまで勘ではあるが、それで変更してくれるサイトは1%程度で、 大抵は放置したままリンク切れになる運命ではないかと思う。 | ||
もしその時点で、将来はサービスを廃止すると一言いってくれたら、 当然 @homepageに移転していただろうし、 今頃は、そこから5年間の積み上げのあるサイトになっていた筈なのだが、 まあこれはプロバイダの選択をミスした側の責任なのだろう。 ということで、URLを勝手に変えられないようにするには、 そのような常識感覚のあるプロバイダを選ぶか、 あるいは今ならドメイン名を自分で取得し、そこを基点にするのがベストなのかもしれない。 ということで、裏ページは引っ越さないといけないのだが、 @nifty内で移転したらまたURLを変更するとか言われると困るので、 他のプロバイダに移転するつもりである。 | ※ ずっとトップ争いをしてきた「Phinloda の本当の裏ページ」は、 予想通り、 2005年現在、「裏ページ」で検索しても1ページ目に出てこなくなった。 結論としては、長期的に考えた場合、 SEO対策としては、まず、ニフティを選択しないということが効果的だと思われる。 | |
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ところで、@niftyには @homepage というホームページサービスもあって、 これは継続して使えるのだが、 今まで無料で10MBまで使えたというのが、最近20MBまで無料で使えるようになった。 ただし、全員使えるようになるかというと、 申請しないと使えないという仕組みだ。 どうせ無料ならば、全員20MBまで増やすことにすれば、 申請の手間とか省けると思うのだが、 そう考えてみると、 この種のサービスで巧いのはSo-netだ。 無料で使える限界サイズを超えたら自動的に課金される、 というような仕組みになっていたと思う。 他のプロバイダだと、申請してある限界を超えたらエラーになってしまって、 分からない人には全く訳が分からないだろうし、 結果的にサポートの手間まで増やしているような気がする。 もっとも、調子に乗って使っていたらスゴイ課金になった、どうしてくれる、というようなクレームが来るのかもしれないが。 | ※ もちろん、超過分は課金されるということに事前の同意があるはずなのだが、 運用方法としては、 限界を超える前に「これ以上使うと課金される」と表示すればよい。 | |
まあそれはどうでもよい話で、 実は @homepage に「Phinlodaの本当の裏ページ」のミラーサイトが置いてあるので、 とりあえず容量を20MBに増やす申請をしてみると、 fig.1 のようなメッセージが表示された。 ---- fig.1 ---- ahpfs502: Connection refused 04970: ファイルサーバー参照エラー しばらくしてから再度設定し直してください。 | ||
そういえばUIの基本として、「04970: 何々エラー」というような表示は最低だと教科書に書いてあったなぁ、と思うのだが、 表示しないよりはマシなので気にしないことにして、 問題はその前の「ahpfs502」である。 これは多分、ユーザーに見せるつもりのないメッセージが、 たまたま、バグか何かで出てきてしまったのだと思う。 まあそれもいいとして、 ちなみに、しばらくしてから再度設定し直すと、次は fig.2 のように表示された。 | ※ ユーザーに意味のない数値を見せているので減点。 さらに「エラー」という表現を使っているので大幅に減点。 ahpfs502 というのがサーバの hostname の類のシンボルだったら、 クラッキングのための情報を与えていることになるので、さらに減点。 | |
---- fig. 2 ---- 04933: システムエラー ディスク容量の確認でエラーが発生しました。 | ||
後で知ったが、この件はトラブル情報に出ていて、 どうもアクセスが集中したというような単純な理由でサーバーが動かなくなったらしい。 しばらくしてから設定してもどうにもならない、 ということは、最初のエラーメッセージは根本的におかしいのである。 しかも、多分、しばらくすると「私のページは10MBしか使えないのですが」というような電話がサポートにかかってくるようになるのだろう。 そういうコストは計算に入れた上で、 申請者のみ20MBという選択にしたのだと思うが、 無料で50MBとか100MBというプロバイダがある昨今、 今時、一人10MB程度の容量を増やす処理を希望者のみに絞る理由がどうも謎である。 だからそういうのは最初から無条件に全員20MBにすればいいと思うのだが、 | ※ コストの殆どが人件費であるといわれている。 ちなみに、最近(2005年)の状況としては、 テキストに関しては無料で無制限、というのがトレンドだ。 | |
§ @nifty といえば、blog のサービスが昨年末から始まっている。 ココログという名前はパロディ化しやすい所が微妙に気に入っているのだが、 会員なら開設費は無料だし、 開設すれば抽選で何か当たるということなので、 開設してしまった。 ちなみに、手持ちの全IDで開いてみたけど、全部外れたようだ。 今更blog論をブチかますにはタイミングが遅すぎるし、 論じるというほどblogについて詳しくないのだが、 要するにblogの何がいいのかというと、 とりあえず、 掲示板サービスやフォーラムのようなコミュニティサービスと同様のサービスが、 XML-RPC で使えるという所だ。 XML-RPC とは何かというと、 細かいことを書くには紙面が足りないのだが、 一言でいってしまうと、XML で RPC をラップしたものである。 欠点もある。 特に大きな問題は、コメントを書いている人が誰だか分からないということだと思う。 XML-RPC が使えると何がいいのか? サービスにアクセスするための API が定義されているというのがポイントである。 今まで@niftyのサービスを使うには、 いわゆるtty形式、つまり無手順においては、 送られてくる文字列を勝手に解釈したり、 あるいは、HTML 形式で送られてくるものを、 独自に parse して解釈する、という方法しかなかった。 この「勝手」とか「独自」というのが曲者で、 ちょっとでも文字列の順番とかページデザインを変更したらプログラムが破綻する、 というようなこともある訳である。 これに対して、blog というのは、Blogger API でアクセスできるように最初から作られているから、 そのAPIを使えば、 プログラムは簡単に書けるし、 その動作も保証されているのだ。 List 1 は、ココログに投稿するJavaのプログラムである。 ---- List 1 (blogger.newPost の例) ---- import java.util.Vector; import org.apache.xmlrpc.*; /* * XML-RPC を使って@niftyのココログに新規投稿するサンプル。 */ public class BlogPostSample { private final static String server_url = "http://app.cocolog-nifty.com/t/api"; public static void main(String[] args) { try { XmlRpcClient client = new XmlRpcClient(server_url); // Blooger API の newPost を参照すること String appkey = "foo"; // cocolog の場合は無視されるらしい String blogid = "0"; // cocolog のユーザー毎の blogid を指定する String username = "username"; // cocolog に登録したユーザ名を指定する String password = "password"; // cocolog のパスワードを指定する String content = "content"; // 投稿する記事の文章を指定する boolean publish = true; // Vector にパラメータを積む Vector params = new Vector(); params.addElement(appkey); params.addElement(blogid); params.addElement(username); params.addElement(password); params.addElement(content); params.addElement(new Boolean(publish)); // XML-RPC を実行。 String result = (String) client.execute("blogger.newPost", params); System.out.println("Result = " + result); // 確認 } catch (Exception exception) { System.err.println(exception.toString()); } } } これをコンパイルするには Java に対応したXML-RPCのAPIが必要である。 XML-RPC に関する情報は、 XML-RPC.Com (http://www.xmlrpc.com/) を参照すればいい。 日本語訳も出ている。 但し、少し内容が古いところもあるので注意が必要である。 このサイトには helma.xmlrpc.*; を import するように書いてあるが、 このプロジェクトは現在 Apache に移転しているので、 Apache XML-RPC (http://ws.apache.org/xmlrpc/) から xmlrpc-1.2-b1.tar.gz か zip をダウンロードするとよい。 これを適当なディレクトリに展開すれば、xmlrpc-1.2-b1 というディレクトリ下に xmlrpc-1.2-b1.jar というファイルがあるので、これをクラスパスに追加する。 | ||
blog の平均寿命は2週間とかいう話も聞いたような気がするのだが、 とりあえず blog が使えるようになったというのはプログラマーとしてはありがたい。 | ※ 3週間という説もある。 かなり多くの人が、開いただけで終わってしまったり、 しばらくして書くことがなくなるというか、放置してしまうという噂がある。 |
(C MAGAZINE 2004年4月号掲載)
内容は雑誌に掲載されたものと異なることがあります。
修正情報:
2005-05-03 注釈追加版を公開。
2006-03-01 裏ページに転載。
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