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フィンローダのあっぱれご意見番 第88回「名前」

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何かを調べたいとき、最近は、即座にインターネット、という感じになっている。 インターネットとは漠然としたい言い方だが、 実際はWWWの検索サービスである。 ちょっとしたコツさえつかめば、これが実に便利だ。 特に、普通ではどうやって調べたらよいか分からないような情報をgetしたい時に威力を発揮する。

実際にどんな情報を調べたか紹介してみよう。

孫子の兵法。こんなのはまだ序の口。本を見れば済むからだ。 しかし、手元に本がない時にどうすればよいか、それが問題なのだ。

自動車の燃費。 これってカーマニア系の雑誌に出ていると思うのだが、 そちらの興味があまりないのでよく分からない。 プリウスの燃費は? と疑問に思った時にすぐ調べることができるわけだ。

鮒寿司の作り方。こうなると本で調べるにしても、だんだん怪しくなってくる。 一体どんな本に出ているか分からないのだ。 もちろん、料理の本だとは思うのだが。 鮒寿司って何? という方は調べてみてください。 家庭で鮒寿司を作っている人が今でもいるのだろうか。

柿の葉寿司。これは意外と面白かった。どこの名産か? このレベルになると、 図書館に行っても困りそうだ。 百科辞典の出番か。

最後にこれ。梅田のインディアンカレーはどこにあるか? そりゃ梅田だろ。 それは分かっているのですが。 何か食べ物系の検索が多いようだが、偶然です。 ちなみに、梅田のインディアンカレーというのは、阪急三番街にある。 カウンターで食べるカレー屋さんである。 とにかく辛いが激美味い。 地元でも有名だが、意外と東京でも知っている人がいたりするのが不思議だ。 グルメ系の雑誌を調べると出ているのかもしれない。 評価は高いはず。 この店を、インターネットだと何とか探すことができた。 ただし、その時は、地図まではわからなかったのだが、 実は私、その店に何度となく行っているので、 三番街の地図を見ればだいたいどのあたりに店があるのか分かる。

§

  

ニフティサーブでも、 SpiSeeという、全フォーラムのコンテンツから検索するサービスが始まった。 と言いたい所だが、実は1999年7月1日に開始されて、 その日のうちにサービスを停止している。 この原稿を書いている時点で1か月以上経過しているが、まだ復旧していない。 何がどうなったのかさっぱり分からない。

 

※ SpiSeeは、2005年3月31日にサービスを終了した。

停止の理由は、公式には「サーバー負荷増大のため」とされている。 この種のサーバーを立ち上げる時には、どの程度の負荷に耐えられるか、 必ず見積もることになっているから、 単純に考えても、負荷がちょっと増えた位でサーバーが止まるわけがない。 よほどとんでもないことが起きたのだろうか。 例えば、見積もりの一万倍のアクセスが殺到したとか。 あまりにも復旧しないものだから、 いろいろ余計なことを考えすぎて、 何か致命的なバグがあったのではないかとか、 特許や商標に関するクレームが付いたのではないかとか、妄想を膨らましたものだが、 どうも本当にサーバー負荷の問題のようである。それにしても、 私が使えたのはたったの1回。 ラッキーだったのかもしれないが、他の皆さんはどうだったのだろうか。

さて、私はどんな使い方をしたか? 最初にやることは決まっている。 「フィンローダ」という文字列を検索したのだ。 これが3000程度ヒットした。 結構あるものだ。しかも、なぜこんなフォーラムに? というような所でヒットしている。

  

AltaVistaのようなWorld Wide系の検索エンジンでも、「phinloda」で検索することがある。 今のところ、 この文字列でヒットするページは、 とりあえず極めて高い確率で私に関係のあることが書かれている。 こんな英単語は存在しないからである。

 

※ 英語以外てでも存在しない、ということも重要である。 2006年3月現在、 phinloda は、 hgoogle で51,600件、 AltaVista で 7,150 件ヒットする。

このような検索をすれば、ある人がどこに登場するかを調べることができる。 その結果、その人の趣味や好みを想像することができるかもしれない。 極端な話、これをプライバシーの侵害ではないかと指摘する意見もある。 フォーラムやWebに書きまくった上でプライバシーというのもヘンだと思うが、 気持ちがわからないわけでもない。 あちこちの情報をまとめて把握されたくない場合には、 単純だが、フォーラムごとにハンドルを変えてしまうという手が効果的だ。 わざと検索できないようにするのだ。 もっとも、IDで検索されたら一たまりもないわけだが、SpiSeeにそんな機能はあったっけ?

ニフティサーブであれ、WWWの掲示板であれ、 これからハンドルを決めようという方は、検索する時のことも、よく考えた方がいい。 もちろん、今までのニフティサーブの会議室でも、 ハンドルはユニークな方がインパクトが強かったし、 他の人と偶然同じになってしまって混乱することを避けることもできる。

余談だが、SpiSeeというのは、 その点においてはイイ名前である。 実際、AltaVistaでSpiSeeという文字列を検索してみると、 1件もヒットしなかったのだ。これに比べると、「@nifty」という名前、これが今からどうも気が重い。 検索したらどういう感じでヒットするか、 やってみれば分かる。あまり考えたくないような結果になることは間違いない。

§

  

WWWが猛烈な勢いで躍進する反面、 ニフティサーブのパソコン通信型サービスというのは利用者が増加しなくて大変だという噂もある。 というか、プログラマーズフォーラムもピンチのような気がする。 というわけで、こういう時には神頼みの類も検討に値するものだが、 何もしないよりはと思い立ち、 会員に近況報告メールを出してみた。 その数、最近入会した1000人程度を除いた約3万通である。 実は、最近はフォーラムを利用した瞬間に入会処理が自動的に行われるので、 会員の皆さんは「入会した」という感覚がないと思う。 別に罠ではありません。念の為。

 

※ その後、spam がネット社会で問題になったため、 この種のメールを送り辛くなった。

このメールをどうやって送るかというと、 実は手作業で送るわけだ。 もちろん、手作業ではなく、送信用のプログラムを作ってあるのだが、 何か一発でフォーラム利用者全員にメールを送ることができると思っている人もいるようなので、 説明しておくが、 そんなコマンドはどこにもないのである。 ニフティサーブの会員がいつもメールを送っているのと同じコマンドで、 こつこつと送るのだ。ただそれだけだ。

近況報告のメールには、 6か月以上アクセスしていない人に対しては、 フォーラムの会員資格を取り消してもいいですか、 というような内容を追加してから送信している。 会員資格というと大げさだが、プログラマーズフォーラムの場合は大したことはない。 もう一度フォーラムを見に来た所で、自動的に再入会したことになるだけの話だ。 この場合何が違うかというと、会員の利用データが初期化される点である。 会員がフォーラムをアクセスすると、 その人がどの会議室のどこまで読んだか、 というような情報がシステムに記録される。 だから、次に利用する時に、 まだ読んでいないデータだけを表示する機能を使うことができるのだ。 ニフティサーブの会員数は、アバウトにいえば300万人弱程度だが、 全会員に対してプログラマーズフォーラムの未読情報を保持しているわけではない。 該当フォーラムを最初にアクセスした時点で、 それを保持するファイルが作られるのだと思われる。 これだと3万人分のファイルで済む。

会員資格を取り消すと、このような情報が一切消滅する、というだけの話だ。 こちらとしては幽霊会員でいつまでも居ていただいても一向に差し支えないのだが、 全員にメールを送りたい時に相手が多すぎるのが、困るといえば困る。

さて、仮に誰が最後にいつアクセスしたかを一覧にした会員リストがあるとして、 そこから6か月以上アクセスしていない人を探すにはどうすればよいか。 昔はこれをCのプログラムで処理していた。 最近はこのような処理はperlでやってしまう。 たかが3万行ならすぐに終わるので、あまり効率を気にしなくてもよいのだ。 Cでなくて済みません。 さて、Listはperlのスクリプトの一部だ。7月末に処理することを想定して、 990131という数値できめ打ちしてる。

---- List 1 ----

while (<SRC>) {
  if (/^\s*(\d+)\s+([A-Z]+[0-9]+).*(\d\d)\/(\d\d)\/(\d\d)/) {
    $date = $3 . $4 . $5;

    if (($date gt "990131") {
      # 最終アクセスが6か月以内
      print RESULT1;
    } else {
      print RESULT2;
    }
  }
}

---- List end ----

処理がどうなっているかというと、 想定したデータはテキストファイルで、1行ごとにIDと最終利用日時が入っていて、 そこに含まれている「99/08/01」のような部分文字列を抜き出して、 990801という文字列にして、大小比較、というごく単純なことをやっている。 で、それがどうした?

いや、実はこのプログラム、2000年を超えられないような気がするのだが。 いわゆる2000年問題だ。YY/MM/DD の形式の情報だが、 確かニフティサーブの会議室の発言などは、 来年は00/01/01のような表示を行うことが決まっていたと思う。 ということは、 来年の元旦に最終利用という方は、利用日がこの処理だと000101となる。 とてもまずい。

  

もちろん、これを修正するのは簡単である。 リストでは$3に相当するのが年を保持している変数で、 これが88より小さいときに100を加える処理を追加すればよい。 そうすれば、少なくとも2088年までは持つ。88というのは、 プログラマーズフォーラムがオープンしたのが1988年だから、 それ以前にアクセスした人はいないだろう、という単純な推理に基づくのだが、 ちなみにニフティサーブが始まったのは1987年だから、 87で切り分けてやってもいいかもしれない。 もちろん、これでは2087年頃に何かヤバいような気はするのだが、 そんな先のことは知ったこっちゃない、と開き直ってもとりあえず問題ないような気がする。

 

※ 実際、問題なかったですな。

(C MAGAZINE 1999年10月号掲載)
内容は雑誌に掲載されたものと異なることがあります。

修正情報:
2006-03-14 裏ページに転載。

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