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フィンローダのあっぱれご意見番 第101回「IT」

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前回、 数十万円の教材でサイト作成技術が身につけば安いものだという趣旨の戯言を書いたが、 誤解があるといけないから念のため補足しておく。 あれはつまり、 売り物にできるデザインのサイトが作成できる技術を身に付けようとしたら、 数百万円払っても足りないと言っているのであって、 講座が数十万円程度ならリーズナブルだと言いたいわけではない。

  

デザインというのは、まず天性の才能が必要だ。 さらに、Webサイトのようなインタラクティブな画面デザインの場合、 それなりの常識を専門学校などで何年か修行するといった努力があって、 初めてそれでメシが食えるレベルになるものだと思う。 通信講座で不可能とは言わないが、そう簡単に身に付くようなものではない。 もちろん、そこそこ見てもらえるページを素人が作った程度でよければ、 そのような講座を受けなくても、 1万円弱のソフトを買ってきてマニュアル見ながらサンプルを加工すれば何とでもなることは皆さんご存知の通り。

 

※ 別に専門学校でなくてもいいのだが、 大学の専門課程でもなければ、 ユーザビリティを意識した画面設計は教えてないと思う。

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政府が率先しているからか、世間ではIT革命という言葉が流行しているようだ。 誰でもサイトを公開できるというのもその一環なのかと思ったりするが、 とりあえずIT革命の実態は何なのか。 総理大臣はPHSと携帯電話の区別が付くようになっただろうか? じゃあEZ-Webとiモードの違いは? とか聞いてみたい。

というのは、EZ-Webとiモードが異なるプラットフォーム上にあることは、 極めて勿体無い話だと思うからである。 もちろん、CdmaOneの携帯電話機とDoCoMoのiモード対応の携帯電話機は互換性がない。 ただ、これはレイヤーとしては低レベルの話であって、 例えばiモードの携帯電話からCdmaOneに電話をかければ、何の問題もなく会話できる。 互換性のある公開された土台というのは、IT革命において極めて重要な意味を持つはずだ。 では、携帯電話対応サイトはどうなっているかというと、 なぜそういうことになったかよく分からないのだが、 確か、EZ-Web対応ページはiモードでは見えないし、 iモード対応ページはEZ-Webで見えないのだっけ? これでは革命どころではない。 両方の携帯電話に情報を公開したい場合は、2通りのページを作成しなければならず、 コストが2倍とは言わなくても、無駄手間を必要とすることは間違いない。

最終的には現在pcで見ているようなページがそのまま見えるようになって一件落着となるのかもしれないが、 このような非互換環境が乱立する前に、 何とかなって欲しいような気もする。

§

  

IT革命でぜひ実現して欲しいのは「どこでもインターネット環境」である。 既になっていると思われるかもしれないが、意外とそれが使えない所があるのだ。 例えば、地下鉄の中では携帯電話の電波が届かないし、喫茶店で奥の席に座るとPHSが使えない。 とにかく中途半端なのである。

 

※ なんと2006年3月現在、 地下鉄の中で携帯電話が圏外になるという状況は変わっていない。

電車の中といえば、携帯電話はマナー違反だという人がいる。 一体誰がそういうマナーを勝手に作ったのか知らないが、 それはさておき、ペースメーカーに影響があるから使うなという、 デマに近い都市伝説をまず何とかしてもらいたいものだ。 身近な人の感触では、 電車の中で待ち受け状態の携帯電話があるだけで、 あらゆるペースメーカー装着者が発作を起こしてしまう、 というような誤解をしている人が結構いるようなのだ。

携帯電話の影響を調べる実験の報告によれば、 228機種の中で携帯電話の影響を受けたのは44機種となっている。 つまり、一部の機種は誤動作したのだが、 残りの184機種は問題なかったのだ。 ちなみに、この44機種のうち20機種弱は、5cmの距離にまで近づけないと影響を与えなかった。 これは満員電車で密着状態であっても、なおかつかなり位置関係が制限される距離である。

しかも、ネットではコラムとして書いたが、 この誤動作は「離せば正常な状態に戻る」という性質を持っている。 結局、電波が強く出る通話時に限って、 超接近状態でペースメーカーのセンサー付近にずっと携帯電話を保持していた場合に限って、 228機種のうち44機種が誤動作するが、 離せば正常な状態に戻る、 というのが真相だとしたら、 電車の中で電源を入れているだけでペースメーカー装着者が発作を起こすというのとは、 随分な違いだとは思わないか?

  

もちろん、大声で通話したり、 大音量の着信音を平然と鳴らすというのがマナー違反だというのは否定する気はない。 問題は、 IT革命の結果として想定されそうな利用方法、 例えば、電車の中でメールを受信して読むとか、 Webの情報をチェックするというような使い方である。 電車の中で本や新聞を読むのがマナー違反でないのなら、 マナーという点では、そのような使い方も同様にマナー違反ではないと思う。 ただ、それでも「一部のペースメーカー」が、 「超接近状態」で通話時に、 「離せば正常な状態に戻る」 程度の誤動作をするというのがどうしても気になるという人がいるかもしれない。 ならば、 テスト結果でも228機種のうち184機種は問題ないわけで、 全機種問題ないようにすれば、さらに問題ないだろう。 IT革命と騒ぐ位なら、 携帯電話を近づけた位では誤動作しないようなペースメーカーでなければ厚生省が認可しないとか、 それ位の指導を国レベルできちんと行って欲しいものである。 そういった土台から作っていかないと、 IT革命といっても日常生活の細かい所では不便なままだ、というオチになりかねない。

 

※ その後、万引き防止用のセンサー(ゲート)が発生する電磁波が、 ペースメーカーの誤動作を引き起こす事例が報告されて話題になった。 ただ、その事例によれば、 自覚症状がなかったために、 誤動作した当人は、 病院で診察を受けるまで誤動作に気づかなかったそうである。

もっとも、ペースメーカーに影響がないとはいっても、 通話時に顔に接近されたりすると、 何か別の問題がありそうな気もしないではない。 本当に人が集まるような所では、携帯電話のような強力な電波ではなく、 PHSや、さらに弱い電波でもインターネットに接続できるような仕組を開発するとか、 そういうアプローチも考えるべきだろう。 例えば電車の中なら、 電車内に基地局を設置することで、 外で通話するような強い電波は必要なくなるはずだ。 電車の中で電波が安定するというメリットも出てくるわけで、 そのような工夫はすべきではないか。 もちろん、そんな程度ではIT革命という看板に対しては生ぬるい。 pcを持っていれば、 車内では無線LANが使える、という程度になってもらわないと困る。 もっとも、 我が家の無線LAN、Windows 2000で使おうとはしているのだが、 ドライバをインストールして起動したら全く動作しないという状況で、 IT革命以前の問題というか、先は長そうな気はする。

 

※ 圏外になった場合、 携帯電話は基地局を探そうとするから、 普段より頻繁に強い電波を発することになるらしい。
なお、東京メトロ(旧営団地下鉄)では、 全駅内で無線LANが使えるようになった。

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「情報」を考えるにあたっては、 技術ではなく、 情報そのものをどのように自分のモノとするかという視点を忘れてはならない。 例えば、 ニュース速報をWebで見ることはできるし、 それをファイルに保存することもできる。 Webの自動巡回ソフトもあるから、 手作業で処理しなくても、自動的にニュースを集めるところまではできる。 問題は、その次の処理だ。 ニュースを集めるといっても、 無差別に集めたら膨大な量になってしまって、結局何も集めないのと同じになってしまう。 そこで、検索ソフトの出番となるわけだが、 namazuの話は以前書いたので省略。 実はWZ Editorのグローバル検索でも結構使えるという気もするのだが。

  

最近は、Windows 2000で、 Internet Information Service というのを使って、 pc上にhttpサーバを立ち上げてCGIを使うようにしている。 これがまた使い方が訳わからない状態なのだが、 試行錯誤と偶然で何とか使えたんじゃないかという状況だ。 詳細はさておき、何に使っているかというと、例えば牌譜の処理だ。 なにそれ?

 

※ IIS。 今は apache を使っているので IIS は使わない。

牌譜というのは、麻雀の試合の流れを記録したデータで、 正式なフォーマットがあるのかどうか知らないのだが、インターネット麻雀のソフトの中に、 このようなデータを記録できるものがある。 それを見て相手の手筋を研究したり、 というところまでインターネット麻雀に真剣にならなくてもいいと思うのだが、 Web上に「こんなヘマをしました」というページを作って紹介する目的には使える。

  
---- fig 牌譜の試合データ ----

譜 d②白 a99 c④南aポン東 c伍北 b八南 d⑦發 a西西 c2東 b白東 d七中

---- fig end ----
 

※ So-net の麻雀ソフトが生成する形式。

figは、牌譜の例である。 「d②白」というのは、dというプレイヤーが、2筒をツモってきて白を捨てたという意味になる。 「c④南aポン東」というのは、 プレイヤーcが4筒をツモって南を切ったらプレイヤーaがポンして東を切った、という意味だ。 麻雀をご存知ない方、どうも済みません。

とにかく、これではよほど慣れていないと牌譜を見ても何のことかよく把握できない、 ということが分かってもらえると思う。 そこで、配牌時からゲーム終了までの手牌の状態をすべてグラフィックで表現するための HTMLのページを作れば、ブラウザで見ればよいということになる。 実はその処理にCGIを使えば、さらに使い勝手はよくなるというアイデアなのだ。

このプログラム600行ほどあって、かつあまりに内容が杜撰なので紹介しないが、一つだけ。

---- list 各プレイヤーのデータを作る処理 ----

# 1局ごとのデータをファイルに追加する
sub add_html {
  for ($player = "a"; $player le "d"; $player++) {
    &each_player;
  }
}

---- list end ----

Cに比べるとperlは文字列処理が得意だと言われているが、 プレイヤーがabcdで表現されているのでabcdでループさせてしまえというのがlistのループである。 C言語が分かれば何となく分かるはずだ。 perlならこういう書き方ができる。 leというのは文字列の比較演算子。 &each_player というのは、ユーザ定義の関数呼び出しになっている。 $player++ で、$playerの内容がa、b、c、dと変化してくれるというのがミソ。 ところが、私の場合、こうやって文字をインクリメントしてループさせるコードを書いた記憶がないのだ。 使えそうな機能なのだが、なかなか使う機会がないようだ。

いずれにせよ、getした情報をこうやって誰でも処理できるかというと、 それはちょっとなさそうなので、まだまだプログラマーの存在価値は失われないだろうと思う。 というか、IT革命が成っても情報が乱立しただけ、みたいなことにならないように祈りたいものだ。

  

(C MAGAZINE 2000年11月号掲載)
内容は雑誌に掲載されたものと異なることがあります。

修正情報:
2006-03-12 裏ページに転載。

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